"Eco"

* 備忘録的なページです

● 気象予報士のための温暖化教室 (3) CO2による温暖化の疑問点 (2014-02-01)

中部大学・武田邦彦教授のブログより転載
情報元: http://takedanet.com/2014/02/post_7b37.html

会長が数々の問題発言をしているNHKで、また東北大学の女性の准教授が温暖化の計算をしたので、それを放映していたと読者の方からご連絡をいただきました。でも良心的な物理学者、気象学者が温暖化に疑問を持っているのは、別に反抗したいとか、天邪鬼というのではありません。

18世紀から見ると少し地球の気温が上がっているのも確かです。でも、その原因がCO2であるとか、だからCO2を削減しなければならないというところまで行くと、「真面目な気持ちで学問をしている人」なら疑問に思うのが当然なのです。

だから、気象予報士もいかに示すデータを見て、少し疑問を感じなければいけません。またIPCCという国連の機関は「気象変動に関する政府間パネル」という名前が示している通り、「政治機関」であることも念頭に置いてください。そこに学者は参加していますが、原則としては御用学者の集団(政府から指名を受けるから)としてよいと思います。


○ 疑問となるデータ

1) 気温の上昇が太陽活動の変化と一致しているから

このグラフに示すように、18世紀のマウンダー極小期、19世紀初頭の極小期から19世紀、20世紀と太陽活動が徐々に盛んになってきたので、少なくとも太陽活動の影響は除いて気温の上昇を考える必要があります。


このグラフは20世紀の太陽風(太陽活動)と世界平均気温の関係です。やはり太陽の活動を組み込まないと、一般の人に説明するのはむつかしいように思います。


2) 都市および周辺の気温はヒートアイランドで上がっているから

これは9月の東京付近の気温の状態ですが、山手線の内部は東京郊外とかなり気温が違います。地球温暖化で良く出てくる平均気温のグラフは1880年からですが、1880年から連続的にデータが得られているのは、いずれも「先進国の都市部」ですので、ヒートアイランド効果を差し引く必要があります。


3) 上空の気温が上がっていない

1978年から気象衛星による上空気温、極地の氷の状態などの観測が可能となったが、このグラフに示した通り、上空気温は上昇していません。この要因としては、地表の気温が都市化の影響を受けていることや、観測結果としては、地表が気温上昇、上空が気温低下という傾向があることが原因している可能性があります。

温暖化が政治的な課題になったので、地表と上空の関係を研究している研究者がこのようなデータの発表に戸惑ったり、考察を控えたりすることが多いようです。


4) 相次いだ誤報に科学者も錯覚した

ツバル報道やホッキョクグマの歌でNHKが大々的に誤報を流したり、アルプス、ヒマラヤ、キリマンジェロなどの氷河の報道がやらせだったりしました。現在でも竜巻、900hPa以下の台風などが異常気象=温暖化と結び付けられていたり(事実は逆の関係)、多くの政治的意図を持った報道に専門家ですら左右されました。

「温暖化」のような「科学的現象」を考えるとき、私たち科学者は「すべての現象を説明しうる整理」を考えに考えます。その中につじつまが合わないことがあれば、新しい考え方を持ち込むなどで苦しむわけです。

しかし、学生や初学者の中には、実験結果がうまくいかずに苦しいのでインチキをすることがあります。自分の結論に合わないデータを故意に示さなかったり、さらにひどい時にはNHKのように偽装する場合もでています。

科学の楽しみは「真実」に迫ろうとするところにありますから、気象予報士がお金や出世に興味がある場合、他の職業に就くほうがストレスがなく良いでしょう。

(平成26年2月1日)
武田邦彦


● 「リサイクル」のこと

情報元: http://takedanet.com/2014/02/post_f4e9.html

ニュース短信 なぜ、人はリサイクルが「良いこと」と思うのか? (2014-02-14)

4月の消費税増税に合わせてパナソニックやソニーなどの家電大手は家庭用エアコンやテレビの引き取りにかかる家電リサイクル料金を引き上げる。パナソニックはエアコンのリサイクル料金1,575円から1,620円に、16型以上のテレビは2,835円から2,916円にする。その他の冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機についても同じだ。

実に不思議だ。不思議なことはいくつかある。
1) 家電リサイクルを始める前は、家電製品は1つ500円で引き取り、価値のある金や銅を抜き取ったら焼却していた、
2) クーラーは銅が多く使われるので、盗まれることすらある。それをリサイクルの時には「お金をくれる」のではなく、「お金をとって家電メーカーがダブルで儲ける」という値段設定だ、
3) リサイクルが「価値のあるもの」を回収するなら、(1つ500円―回収した価値あるものを売った代金) = 500円より少ない金額になるのに、リサイクルが始まって高くなった(日本国全体の費用も高くなっている)、
4) 世界で家電リサイクルをやっているのは日本だけ。

こんな具合なのに、まだ「リサイクルは資源の節約になる」と思っている人が多い。自分の身の回りのことしか見えず、日本全体で何が行われているのかが見えない。それを専門家が狙っているのだ。

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いったい、家電リサイクルとはなんだろうか? 本来なら、家電を販売して、それが古くなったら、民間の「回収屋さん」が来て、ものによって、3,000円ぐらいのお金をくれる(銅などが多いクーラーや、金などが多く含む電子基板)場合、あまり価値のあるものがないものは0円か逆に1,000円ぐらいを払って持って行ってもらう。

回収屋さんが解体して、価値のあるものを抜いて、残りのかすを自治体の焼却炉に持っていく。回収屋さんはもともと「さんちゃんビジネス」で、お父ちゃん、お母ちゃん、兄ちゃんで軽自動車に乗り、一家でやっと生活してきた。

ビジネスというのは、それが扱うものの価値の高さで裕福になると言われている通り、新車を作るトヨタ自動車、レクサスを売る販売店はお金持ちだが、その部品を作る中小企業はあまりお金持ちではない。さらに中古の軽自動車を売る人の収入が少ないのは世の常である。良い悪いではなく、そうなっている。

だから、家電製品の回収業というのは小企業に限り、「管理費」や「東京に本社ビル」などがあるはずもない。ところが「家電リサイクル」というのは、指導しているのが霞が関にある環境省と経産省。実施がパナソニックや日立だから、ものすごい経費がかかる。

だから、リサイクル制度前: 自治体引取りは平均500円。業者引き取りは平均0円

リサイクル制度後: 引き取りがおよそ3,000円。消費税上げで上げる。となった。

リサイクル制度があってもなくても、価値のあるものはリサイクル屋さんが回収してお金にするので、それは同じだ。「リサイクル制度がなければリサイクルされない」などということはなく、価値のあるものをほっておくような「ビジネスチャンスがあってもだれもやらない」というのんびりした社会ではない。

一般リサイクルもリサイクル制度が始まってから国民一人当たり4,000円を支払ってきた。リサイクルはほとんど実施されていないが、このお金を目的として「リサイクル品として引き取り、ほとんどリサイクルしないで焼却している」人が1万人いる。

一人当たり一年、リサイクル関係の税金の受け取りは4,000万円。すでに20年ほどたったので、一人あたり8億円の不当利益を得ている。官制リサイクル制度を止めて自由競争にすると、リサイクルの税金は5分の1に減り、分別もいらなくなるのに、錯覚とは恐ろしいものだ。

ただ、官制リサイクルでうまみがあるのは自治体で、焼却炉を建設する苦労がなくなり、リサイクル分だけ予算に余裕ができる。だから、自治体は官制リサイクルに賛成するのであって、国民のことを考えているのではない。


(平成26年2月14日)
武田邦彦