Global Warming

* 備忘録的なページです

● ショートショート 森林が二酸化炭素を吸収すると思う理由 (2014-09-16)

中部大学・武田邦彦教授のブログより転載
引用元: http://takedanet.com/2014/08/post_19bb.html

ある読者の方から、光合成反応は次のようなものだから、光合成で二酸化炭素が減ると思うのは当然だというご指摘があり、「ああ、そうか。そこを誤解しているのか!」とわかりましたので、ショートショートでちょっと追記しました。

光合成

二酸化炭素 + 水 → 植物の成長 + 酸素

二酸化炭素を水で「植物の成長」と書いてあるらしいのですが、正しくは「植物の体とエネルギ」とするのが正しいでしょう。植物は、二酸化炭素を原料にして(水は豊富にあるので、特別な場合を除いて書かなくても良い)自分の体と生きていくためのエネルギーを作ります。

つまり、植物は二酸化炭素を「還元」して「炭素」を得て、それを体にするものと、すぐ酸素と再結合(逆反応)させてエネルギーを得るのと二つ行います。体にした炭素は体が減らない限り死ぬまで炭素のままですが、やがて死ぬと微生物などが空気中の酸素を使ってエネルギーを得る(腐敗)ので、結局、右へ行く反応と、左へ戻る反応がほぼ同じだけ起こるので、植物は「死なない植物がいれば別ですが」、ほとんど二酸化炭素に戻すことになります。

一応、まず第一段階でこのぐらいまで頭を整理したあと、「それでは、空気中に95%もあった二酸化炭素がなぜ0.04%まで減ったの?」ということを考えます。人間は一つのことは考えられても、なかなか複数のことを一度に整理するのは難しいので、まずは逆反応ですべてが戻ると考え、それではおかしいことは第二段階で検討します。

生物は37億年前にできて、ずっと二酸化炭素を使い続けてきました。だから単純計算ですと、95%の二酸化炭素が37億年でほぼゼロ(0.04%)になったのですから、1年で(95÷37億年)の計算をすると、2.6×10-8%/年づつ減少したことがわかります(これが地下に埋まっている石油、石炭、天然ガスになりました)。

今、温暖化で問題になっているのは、「100年で0.01%も増える」と言っていますから、計算した数字を100年あたりと0.01%の何倍という換算をしますと、「地球上の植物が100年間に吸収する二酸化炭素は人間が増やす0.01%の1万分の1」ということがわかり「焼け石に水」で、森林が二酸化炭素を吸収するというのは、ほぼ「なし」と言ってよいのです。

ところで「科学は厳密」と言いますが、「厳密」とは「本当に厳密」です。この場合、温暖化に影響のあるものとして森林の吸収量を表現するときには、「厳密な表現」でも「森林は二酸化炭素を吸収しない」と言った方が良いのです。現実の科学の世界を1万分の1のものまで記述すると、自然を解明できないからです。自然はすべて複雑な内容を含んでいますから、自然現象や事実のうち「今、対象としているものに実質的に影響のあるもの」を整理し、他は「影響なし」としてしまった良いからです。

従って、「地球温暖化を解析するときには、森林は二酸化炭素を吸収しないとできる」という表現になりますが、このようなことを一万種類(森林、牛のゲップ・・・)などを羅列するのは科学的にも正しくありません。

ところで、私の活動の多くが「事実をそのまま説明して、ご自分で考えてもらう」ということなので、普通は「事実が確定していれば、その事実を」、「事実が確定していなければ、両論併記」という形をとっています。

これが私とNHKが違うところで、NHKは「国民にやさしく話す」ことが第一なので、「事実と異なってもやさしく話す」ということで、たとえば政府が「温暖化対策」を進めていたら「温暖化している、温暖化は怖い」ということだけ放送し、「地球が出来た時には95%が二酸化炭素だったのだから、過去の気温を見ると二酸化炭素が多くても気温はそれほど上がらない」という「事実」は説明しません。

この例でも同じで、光合成が逆反応を伴って二酸化炭素に戻ることは中学生程度の知識ですから、専門家は全員が知っているのですが、NHKと一緒に「研究費を貰えればどんなウソでもいう」ということで統一されています。

ところで、「頭を使う」という点では、最初の式(右へ行く)をよく見ると、もしこれだけなら今までの植物はすべて「成長」しただけで地球上にあるはずですが、数億年前の植物などいないし、稲や野菜などは一年も持たずになくなってしまいます。だから、もともとこの式だけではおかしいな?と思うのが「頭を巡らす」ということでもあります。

(平成26年9月16日)
武田邦彦


● CO2が増えると海水が酸性になる??・・・驚くべき低学力 (2014-09-13)

中部大学・武田邦彦教授のブログより転載
引用元: http://takedanet.com/2014/08/post_19bb.html

大気中のCO2が増えると、CO2が海水に溶けて海水が酸性になるとまじめに説明している専門家やマスコミが多い。驚くべき低学力、というか科学と言うものを知らないのにはびっくりする。「そんなことはありませんよ」と言うと、「だって、CO2をコップに溶かせば、酸性になるじゃないか」と反論してくる。そこでまた驚く。

自然現象だから、「条件によって結果が変わる」のは当然で、水しか入っていないガラスのコップにCO2を溶かせば酸性になる。でも、コップがCaOでできて入れば、酸性になろうとすると、それをCaOが中和するから酸性にはならない。

この地球はできたときに地上や地下に酸性やアルカリ性物質があり、おおよそ全体としては中性でできている。だから、短い時間、たとえば1日ぐらい、どこかで酸性の場所ができることはあっても、1年間とか太平洋というような時間的にも空間的にも大きなところでPH(酸性度)が変化すれば、もともと、逆のものが同じ量だけあるのだから、必ず中和される。

もしCO2が増えると海水が酸性になるというなら、そちらの方が珍しい現象だから、場所や時間が特定されるはずだ。つまり「普通にはCO2が海水に溶ければ、弱アルカリ物質がその分だけ融けてpHは一定に保たれるが、場所がどこどこで、時間が何時間の間だけならpHが一時的に酸性になることがある」という説明をしなければならない。

学校では、中和反応や緩衝作用というのを教える。それと反することが白昼堂々と専門家が言うのだから、科学教育も難しいものだ。

(平成26年9月13日)
武田邦彦


● やっと温暖化問題が学問になった・・・海が熱を吸収する (2014-08-23)

中部大学・武田邦彦教授のブログより転載
引用元: http://takedanet.com/2014/08/post_19bb.html

ここ15年、地球の気温は変わっていない。このことは再々、このブログでも出した。だから今、20歳ぐらいの人は「地球が温暖化している」という実感はないはずだが、NHKがあまりに洗脳したので、温暖化していると錯覚している若い人が多い。

ところで、東大の渡部先生が「近年の地球温暖化の停滞」という論文を出された。このことを読者の方が教えてくれたが、この論文によると、1997年から始まったエルニーニョから現在まで、地球の気温は変わっていないこと、その原因は海が熱を吸収していることということだ。

物理があまり得意ではない人に簡単に説明するが、空気と水では「熱を抱く力・・・比熱、もしくは熱容量」が3000倍も違う。つまり1ccのわずかな水と3リットルの空気がほぼ同じ熱を抱くことができる。だから、お風呂を沸かす(水の温度を上げる)と、風呂場の空気もあたたかくなる(ふたを開けておけば)ということになる。

地球はざっと言って、面積の3分の2が海で、海は4000メートル程度ある。一方、空気は1万メートルほどあるけれど、上空は空気が薄い。だからほぼ同じぐらいの厚みと言える。そうなると、空気が10℃温まっても、それで海を温めようとすると、わずか0.003℃しか温度は上がらない。

実際には熱伝導の問題、熱対流の問題があり、すぐには分からないが、いずれにしてもこれだけ広大な海があって、それが温度変化のバッファー(変化しにくいような大きなもの)になっているのだから、容易に変化しないのではないかと考えるのが普通だ。

私が名古屋大学にいるときに専門家同士で地球温暖化の計算の検討をしたときに、発表者の方程式に入れる海洋の熱伝導、対流などがほとんど計算されていないことを指摘したことがある。方程式がわかり、そこに入れるパラメーターなどを見ることができれば普通の学者ならだれでも気が付くことだ。
ところで、このような発表が東大から出てくるということは、気骨のある学問が好きな先生がおられることと、国の研究費の締め付け(これまでは温暖化賛成でないと研究費が出なかった。ナチスと同じ)が弱くなったことを示していて良いことだ。

でも、つい最近、ある番組で、東大の元総長(とても学問的な人とは言えないが)が「今でも温暖化に疑問を挟む学者が日本にいる。はやく日本の学者も世界レベルにならないと」と言ったと紹介した。これほど醜いことはない。この発言は次の3つの原則に反する。

1) 自分の考えを言わずに、「東大の総長が」という言い方をする。これはSTAPの時に「外人が世界三大不正事件と言っている」というのと同じだ
2) 世間が権威と思う人(東大総長や外人)を出してきて問答無用にする
3) 本当は世界の学者は温暖化から離れていることを知っていながら、日本人は知らないことも知っていてダマす

まだまだ日本は後進性を持っているのだろう。広島の水害がひどいが、最近の雨について、「天気図から言って普通の現象」なのに、元気象庁長官が「異常気象だ」、「過去にない」と言っている。今回の「不適切な宅地造成」、「避難所が被災」、「避難指示が土砂崩れの5時間後」などの問題は、責任を天候のせいにする行政が作り出したものだ。

(平成26年8月23日)
武田邦彦