2014-03-10

パン屋さんへ


   ずいぶん久しぶりに立ち寄ったパン屋さん。
   春という時分なのだが、シベリアの寒気が下りてきているとかで気温が上がらず冷たい北風が吹いて、風見鶏も忙しそうにクルクルと。


   焼きたてのパンの香りがする店内。 そこは古民家を改造したような空間で、程よく暗く、程よく外光が回り込む具合が居心地よい。 コーヒーを飲みながら本を読んでいる人、パンを手に話をしている人々、それぞれに、それぞれの時間。 店内には、そうして空間にくつろぐお客さんの姿があるので、パンやお店の様子の撮影は遠慮。
   小麦の味や小麦の香りのするパンは、なんだか貴重に思える。 日本で一般的に手に入るパンも美味しいのだけど、こうした素朴さを味わえるかというと、それは意外と難しい。 安堵感 - パンもお店の雰囲気も、そういう感じ、かな。


   以前はもっと古い板といった風な床だったと記憶していたが、気がつけば黒く落ち着いた塗色の木製の床。


   テーブルの上にあったのは、流木なのか旧い木材なのか、古びた板の上に木の実がパラパラと。 カシの実と、これはカカオ?
   今日は雲の様子を見ていて、それほどの根拠なくElmarit-M 28mm F2.8 Asph.を選択。 白黒にしてみると、わりと軟らかい描写をするンだなぁと感心。


   隅っこにあったのは、年季の入ってそうなスピーカー。 "DIATONE"とある。 三菱製だ。 三菱がスピーカーの製造を止めてしまったのは、もう10年以上は前になるだろうか。 DIATONEの音質には定評があり、解像度・定位感・輪郭と、なかなかバランスよく鳴ってくれる。 個人的にはDIATONEは3-Way機が好みで、中域の出し方もクセがなく電子音でもボーカルでも管弦楽でも、何でもござれな安心感のある音だった。
   このDIATONE、型番は... DS-..? そういえば見なかった。 Norah Jonesがかかっていた気がする。 年式のわりに繊細な高音、たっぷりエージングされたユニットからの中低音と、陽射しの風合いとゆったりした店内の時間の流れに似合う音色。


   お店が開いている曜日が案外少なくて、それもあってなかなか辿り着けないことが多い。
   そうした事も手伝ってか、久々に行けたときの満喫感は、その後ながいこと記憶にとどまる。